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小宮 弘氏

一人ひとりに心を込めて向き合い
活き活き生きることに貢献する
ジェネラル・イメージング・ジャパン(株)
代表取締役社長
小宮 弘氏
Hiroshi Komiya

国内コンパクトデジタルカメラ市場に参入して2年、確たる地位を築いたジェネラル・イメージング・ジャパンは、デジタルカメラグランプリ2011 SUMMERで4期連続の受賞を果たしている。新製品とともに新たなテーマ「祝祭」を掲げ、さらなる価値提案を続ける同社の小宮社長に、その意気込みを語っていただいた。

 

撮る側、撮られる側の喜びが広がる
そんなオファーをし続けたい

お客様一人ひとりに
しっかりと向き合う

── デジタルカメラグランプリ2011 SUMMERでも多くの賞を受賞されました。日本展開を開始されてからの2年間でGEブランドが大きく広がって来ましたが、これまでの手応えをお聞かせいただけますか。

小宮 私どもは日本市場に参入するにあたって、物量のマーケティングではなく、生活創造のマーケティングを進めて参りました。販売台数よりもご購入者のお一人ひとりにこよなく愛され、豊かな生活創造に貢献することを目指しております。東日本大震災があって、お一人ひとりという考え方の大切さをますます感じております。大衆に向けて何千台、何万台を売るというより、お一人ひとりに心を込めて向き合いたいという思いです。

そしてカメラも一台一台が命を持っており、こよなくお客様に愛されたいと思っておりますし、価格は品格であると考えております。最初にお買いいただいたお客様が最もありがたいので、極力価格を維持し、下げないように務めて参りました。流通の皆様もそこをご理解いただけたことに深く感謝致しております。強い刺激はないかもしれませんが、価値の品格を堅持することが信頼性を高めて認めていただけると思います。私どものモットーとする「バリュー・フォー・マネー」を貫かせていただき、大変ありがたく存じております。

そしてこの3年間、私どもも「シンカ」させていただいたと自負しております。新化、進化、深化、真価、信化!の5つのシンカです。デジタルカメラグランプリで4期連続金賞受賞ということは、大変な証をいただいたと思っておりますし、企画賞を3期連続で受賞したことが、価値創造の証であると思っております。

── 当初から「バリュー・フォー・マネー」を打ち出して来られ、それが定着しましたね。

小宮 ご販売店様がなぜ私どもを重要視してくださったかというと、8倍ズームとタッチパネル搭載のE1486TWを、1万9800円で出したことにあると思います。他メーカーならば2万9800円、3万4800円というところの商品であると自負していますが、それで後から価格を下げたら結果的にお客様にオファーしたバリューを下げることになります。最初から1万9800円と言い切ったことに対する衝撃はあったと思いますし、またその背景には「映育」や「和モダン」といった考え方があります。単にハードを売るというだけでなく、生活や生きるということに貢献させていただきたいという気持ち、そういうところを見ていただけたかと思います。

いつまでも価値を失わない
「シンカ」を続ける

── デジタルカメラグランプリで金賞、企画賞を受賞したモデルを始め、魅力的な新製品が揃いました。

小宮 金賞を頂戴しました乾電池対応のA1456Wなど1万円を切る商品が計4機種、さらに1万円台の価格帯など合わせて6機種の新商品をご提案しました。いずれも「バリュー・フォー・マネー」の具現化です。E1450Wという新商品では「メタシャインカラー」という新塗装を採用し、価値を高めたということで企画賞を頂戴しました。

商品開発は5つの「シンカ」と言っています。新化、進化、深化、真価、信化です。そうした何かがないと新商品を出す意味がないと思っています。E1486TWのあとタッチパネルの新商品は出していませんが、これに勝る商品はないという思いで2年間のロングセラーとなっております。これは2年間バリューが堅持されているということで、大変ありがたいことだと思っています。

2期連続金賞をいただきましたPJ1では、ライフが1年間も続くということを認めていただけたと思っています。商品のライフを半年で終わらせることが本当に必要なのかという想いがあります。いいものはいつまででもいい、ベストセラーよりもロングセラーが重要だと考えますし、今回の受賞によってそれが裏付けられたように受け止めております。

PJ1のように2万9800円という値段の中にバリューを感じて下さる方がいて、6980円の商品にもそれぞれの高いバリューがある。それをお客様お一人ひとりが選んでいただければありがたいと思います。

── 企画賞を受賞された「メタシャインカラー」についてご紹介いただけますか。

小宮  私は日本板硝子という会社の社外取締役をやらせていただいています。さまざまな工場を見せていただく中で、「メタシャイン」というガラスを使ったすばらしい素材に出会いました。化粧品の中にも入っている、あるいは高級車の黒い塗装にも採用されていると伺いました。それは大変厳しい検査をクリアしたということですね。それをデジタルカメラでやりましょうとご提案し、非常に早く、まさに10倍速で商品化することができました。また粒子もいろいろありさまざまな実験をしましたから、今後また違ったテイストのものを出す計画もあります。これをご評価いただけたというのは非常に嬉しいことで、おかげさまでこれからの発展につながるものだと思います。

日本人の心を見つめ直す
新テーマ「祝祭」に込めた想い

小宮 弘氏── これまでの「映育」や「和モダン」に加えて、今回「祝祭」というテーマを掲げておられます。これについてあらためてご紹介いただけますか。

小宮 祝祭とは日本人の深い心を表すものだと思います。祭にも大小さまざまな行事がありますが、いずれも日本人の心が長い伝統とともに深く刻まれ、集約された生き様のひとつの象徴ではないかと思います。年に一度の祝祭で人々が集まるとき、行事の流れや参加する人の衣装も伝統にのっとったかたちになりますね。現代の日常生活とはまた違って、身も心も日本人の原点に戻るときではないかと思います。そういう祝祭を写真に撮るとき、単なる風物だけでなく、人の心や生き様までも捉えて表現することができるという気がするのです。

写真を撮るということは現実を直視し、真実を見いだして、真理を探究するということに変わりはないのですが、一方で家族や人々とのつながり、何十年何百年という歴史のつながりを日本人は背負っているということ、それが祝祭の場にいることによって心からそこにとけこんでいける。写真を通じてそういったことに触れることができるのです。

東日本大震災でも被災地を撮影した多くの写真がありますし、現実は直視すべきだと思います。祝祭というものも何百年、何千年の流れの中の一瞬であり、ゆるぎない事実です。そこに出て来ている人間の生き様をはっきりと捉えていくことも大事なことではないかと思っております。

震災のあとなおさら、祝祭の本質的なものである祝いの気持ちを心の中に持つことがより一層大事であると考えるようになりました。悲しみだけでは生きていけません。日本人は絶対にそうして天災を乗り越えていける、祝祭はそのときの心の拠り所になるのではないでしょうか。大きな催事に限ることなく、お一人ひとりの「心の祝祭」を見つめよう、という提唱とも言えます。ぜひ大切なテーマとして掲げていきたいと思います。

── どのようなかたちで展開されるのでしょうか。

小宮 これまで「映育」や「和モダン」といったテーマを手がけてきましたが、必ずしも直近の販売戦略として活用するものではないのです。「映育」もその価値や意義というものを考え、ずっと続けていきたいことだと考えます。私どもは商品だけではなくこうした考え方も含めて、皆様に寄り添っていきたいという思いです。

映育は「三つ子の魂百まで」、三歳から百歳まで写真に関わっていただくということですが、それも「零歳から百歳まで」としたいと思います。お子さんが生まれる前からお母さんは写真を撮り始め、三歳になる頃までが一番撮る頻度が多いですね。そして成長したお子さんがお母さんを撮り始め、そうしてお一人ひとりが写真に深く関わって百年間が続くのです。

和モダンや京モダンは日本の伝統とグローバルブランドが調和するという考え方で、そのオファーそのものが大事なことであると思っています。そして祝祭については、これから1年間さまざまな祝祭を実際に撮っていって、日本人の深い心をあらためて見つめ直そうという思いでおります。これを我々のテーマ、ライフワークとしていきたいと思いますし、実際に祝祭を撮るのはなかなか難しいことですからカメラのレベルを上げていく必要があります。また日本人の生き様に祝祭がどう関わっていくかを見つめ、そしてあらためてどんなオファーができるのかじっくり考えていきたいと思います。

ずっと写真を撮り続けることによって、言葉以上に残るものがあると思うのです。そこで1人1台に限らずいろいろなカメラをもって生活を豊かにしていくということになれば、総需要1億4000万台などと決めつける必要はありません。こんなすばらしい商品はないという想いで、これから新興国も含めて全世界のお一人ひとりにカメラを広めていくということが大切な使命だと考えております。そうして皆様のお役に百年間たてればいいと思っているのです(笑)。

ご販売店様が我々の考え方にご賛同され、率先して関連のパネルを置いてくださるというような店頭展開を行っていただける場合があります。そういう中で祝祭についてもシーズンを迎えて店頭展開をさせていただきたいと考えております。

今後の展開においては、おかげさまで流通の皆様にも我々のことをご理解いただけるようになりましたが、まだまだ我々も自身の企業努力が必要ですし、またお客様対策も十分とは言えません。さらにいろいろな展開をして裾野を拡げることが大事だと思います。生きる上での喜び、楽しみがなければと思います。デジタルカメラがあることによって、撮る側、撮られる側の喜びが広がる、そしてそれが相互の心の交流、交換に結びつく、そういうオファーをし続けていきたいと思っています。

── 御社は日本でのデビュー当時から、デジタルカメラとして驚異的な価格を打ち出しました。しかもその中にお客様が必要とするものを商品企画としてしっかりと盛り込み、さらに映育や和モダンといった思想をバックボーンとして展開しました。そこが広く受け入れられたということですね。

小宮 グローバルスタンダードという言葉がありますが、日本のスタンダードが必ずしもグローバルのスタンダードではないと思います。日本人にとっての外国ブランドは異物としての受け止めが強いのではないでしょうか。外国は異国で、外人は異人であるという意識が深いように思います。日本人には外のものを生活の中に受け入れにくく、生活の中に異物が入ることを好まない文化が脈々とあるように感じております。素晴らしい日本の伝統とグローバルの世界を何としても調和させたいという思いから、和モダンや祝祭を拡げていきたいと念じております。

海外の方が日本に来られてすばらしい文化だとおっしゃいますが、当の日本人はそれに気がつかなかったりします。日本の市場がもういちど地に足をつけて価値あるものを訴求し、お一人ひとりの人に貢献していくことが大切だと存じます。大きな震災を経て、今年はそういうことの元年になるのではと思っています。

私どもも4年目となります。この震災は非常に衝撃的でダメージも甚大でした。巨大地震と大津波の不幸だけではなく、日本は原発という深く長い問題を背負いました。しかし心からの日本人の深い精神力と感謝の力が、大難局を乗り切り新たな価値の創造を実現していくと信じております。私どももお客様お一人ひとり、流通の方々お一人ひとりにむけて、新たな価値を創造し、実現して、少しでも貢献できればと心から念じ続けております。

◆PROFILE◆

小宮 弘氏 Hiroshi Komiya
1942年4月生まれ。65年4月ブリヂストンタイヤ(株)(現ブリヂストン)入社、88年ファイアストン買収後のグローバル体制を推進する事業推進部長、北米本部長などを経て94年に退社。同年(株)オリンパス入社、97年取締役、98年オリンパス香港中国(株) 董事長などを経て02年オリンパスイメージング(株)代表取締役社長に、04年にオリンパス(株)専務に就任、05年に退任。2007年1月ジェネラル・イメージング・カンパニー創立、本社米国カリフォルニアのChairman&CEO就任。08年11月同社会長就任、ジェネラル・イメージング・ジャパン(株)創立、現職に就任し現在に至る。

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